「1分あれば相当逃げられるんです」

自衛官時代、クマに何度も遭遇した県危機管理対策監の岡元温彦さん(59)は、演習中に5メートルほどの至近距離に近づいて来られた場面をはっきりと覚えている。身につけていたサスペンダーを外してクマの前に置き、クマがにおいを嗅いでいる間に難を逃れた。

「遭遇したら人のにおいのする物や食べ物で注意を引きつけることが鉄則。逃げられる1分をつくれるかどうかにかかっている」「そして絶対に目を離さず、背中を向けないこと。静かに後ずさりして、ある程度離れたら一目散に走って逃げるしかない」と対処法を語った。

17日、県庁で開かれたツキノワグマ被害防止連絡会議。県や県警の報告によると、2018年に県内でクマに襲われけがをした人は3件の3人で、過去20年間で最多だった前年(8件9人)より減少した。死者はなかった。目撃件数(足跡や爪痕のみの目撃も含む)は前年比4件増の376件、農作物の食害は同18件減の21件。

農作物被害の度合いは、面積が前年度に比べ7割減の2.3ヘクタール、被害額も同8割減の323万円と大幅に縮小した。これは前年度の被害が特別多かったためで、18年度は平年並みだったとしている。

県自然保護課の工藤亨課長は「前年のブナの結実が凶作だったため、今年は特別出没が増える状況ではないとみている。ただし、これから活発化し子グマを育てる時期になるので、入山の際は十分気をつけてほしい」と強調した。