青森県・全国唯一「りんご科」=「弘前実業高藤崎校舎」70年の歴史に幕。

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全国で唯一の「りんご科」がある青森県立弘前実業高藤崎校舎(藤崎町)は3月末で閉校し、70年の歴史に幕を下ろす。

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リンゴの生産量全国一の青森県。そのリンゴ産業の後継者を育成してきた同校舎の最後の生徒12人が3日に卒業式を迎え、リンゴの栽培技術や農業の知識を学んだ学舎を巣立つ。

         自分たちで世話をしたリンゴの木の前で笑顔を見せる弘前実業高藤崎校舎りんご科の生徒たち=青森県藤崎町


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「寂しい思いはあるけれど、リンゴに関わり楽しかった思い出もたくさんある」。七戸町にある農業の専門学校「県営農大学校」に進学する同科3年の千葉森之介さん(18)は、3年間の生活をそう振り返る。

 同校舎は、リンゴの主力品種「ふじ」が誕生した旧農林省園芸試験場東北支場の敷地跡にある。1948年に定時制の黒石高藤崎分校として開校。72年に全日制の五所川原農林高藤崎分校に移行し、リンゴ栽培を専門的に学ぶ「りんご科」が設置された。

 全国的にも注目を集めたのはユニークな教育内容だ。同科の生徒には1人1本のリンゴの木が割り当てられ、授粉や摘果、冬の剪定(せんてい)講習などを受けながら「マイツリー」として3年間育てる。収穫したリンゴは修学旅行先で販売するなど、栽培から販売までのノウハウを身につけてきた。

 最盛期は3学年で約360人が学び、これまでに同科の生徒2305人を含む3593人が卒業。しかし、少子化による生徒数の減少に歯止めがかからず、県教育委員会は2012年の県立高校再編計画で、今年度末での閉校を決めた。

 教育内容の一部は約10キロ離れた県立柏木農業高(平川市)が引き継ぐ。関係者らは「りんご科」の軌跡を後世に残そうと、校内の農場に植えられていた主力品種「ふじ」の原木のDNAを受け継ぐ木を柏木農業高に移植。農場で見つかった「ふじ」の枝変わり品種を校舎名にちなんで「藤巧者(ふじこうしゃ)」と名付け、品種登録を出願した。

たわわに実ったリンゴのできばえを確認する「りんご科」の生徒=青森県立弘前実業高藤崎校舎提供

 卒業生はいま、農家の後継者や農業技術者などとして県のリンゴ産業を支える。14年卒業の弘前市のリンゴ農家、林崎樹(いつき)さん(23)は「『りんご科』を引き継いでくれる学校があるので安心した。校舎はなくなっても、リンゴに興味を持つ若い人が増えてくれれば」と期待する。

 県営農大学校に進む同科3年の藤田紘己さん(18)は「藤崎校舎で学んだ栽培技術を生かし、将来は日本の農業を支える農家になりたい」と話した。「リンゴの学校」は平成とともに消えゆくが、そこで学んだ生徒の思いは新しい時代に受け継がれる。

出典:毎日新聞

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