2020ブラジル柔道代表=[弘前で事前合宿覚書] 前田光世が「縁結び」 in 青森

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ブラジルの視覚障害者柔道チームが2020年東京オリンピック・パラリンピックに出場が決まった場合

 弘前市とブラジル視覚障害者スポーツ連盟は31日、同市で事前合宿を行う方向で協議する覚書を締結した。

弘前市出身:前田光世(1898~1941)

同市出身でブラジルに柔道を広め、現地に骨をうずめた柔道家・前田光世(1898~1941)が「縁結び」の役割を果たした。

 弘前市の県武道館の柔道場を視察するライナ会長(右から2人目)やマルドナド選手(右)

この日、同連盟のサンドロ・ライナ会長と葛西憲之市長が覚書に調印。市が事前合宿の練習場などを準備し、チームの宿泊・移動費を負担する予定で、詳細は今後の協議で詰めるという。


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締結前にライナ会長とリオ五輪パラリンピック柔道(視覚障害)女子70キロ級銀メダリストのアラナ・マルドナド選手ら一行4人は練習場の県武道館を視察。マルドナド選手は柔らかい畳の感触に「問題ない。満足」とうなずいた。ただ、ライナ会長は「浴室や部屋などに細かい点で改善の余地がある」と指摘した。

ライナ会長は:

「日本に慣れるため早速、今年から選手を派遣したい」と意欲を示し、葛西市長は「強化合宿の実施も含めて万全を期したい」と応じた。

葛西市長は:

「障害者への理解が進むことが第一。共生社会実現のきっかけになる」と意義を強調。同市は20年東京五輪での台湾ソフトボールチームの事前合宿が決定している。

コンデ・コマに恩返し

締結の橋渡し役となったのがコンデ・コマこと前田光世だ。

市によると、リオ五輪の際、県担当者がライナ会長に前田の出生地・弘前での合宿を提案すると、即座に前向きな返答があったという。「ブラジル人でコマを知らない人はいない」とライナ会長。「弘前で合宿が実現すればコマに恩返しできる」と話す。

 前田は旧船沢村(現弘前市)の農家に一人息子として生まれた。日露戦争中の1904年に渡米後、欧州・中南米を巡り、14年にブラジルへ。アマゾン河口のベレンで亡くなるまで、日本の土を踏み直すことはなかった。

「コンデ・コマ物語」『アマゾン開拓の父』と敬われた」

船沢中の校長で教員を退職した縁で前田の生涯を追った「コンデ・コマ物語」(路上社刊)の著者、三戸建次さん(71)=弘前市=は、前田がブラジルで尊敬される理由を二つ挙げる。「柔道普及のため、レスリングやボクシングなどの異種格闘技でも常に武士道の精神で堂々と戦った。百戦百勝の強さがあった」「日本人移民の先頭に立ち、コーヒー袋の材料の麻やコショウの栽培を手がけ、事業家として『アマゾン開拓の父』と敬われた」

「グレイシー柔術」を習う関係者らの交流

 コンデ・コマの名は、スペインに渡った08年、前田が何らかの事情で「困る困る」とぼやいたことに由来する「コマ」に、無敵の強さから「コンデ」(伯爵)の尊称が付いたとされる。三戸さんによると、前田の教えをくむブラジルの「グレイシー柔術」を習う関係者らは今も前田生誕地の船沢をよく訪れているという。ライナ会長らも2月1日、船沢中を訪問する。

出典:毎日新聞

伝説的な柔道家・前田光世(1878~1941、)

ブラジルに柔道を伝えた伝説的な柔道家・前田光世(1878~1941、ブラジル名コンデ・コマ)が弘前市出身という縁を生かし、市が昨年9月、県を通じてブラジル側に打診。来日した同連盟のサンドロ・ライナ会長は視察を踏まえ、31日に葛西憲之市長と覚書に署名した。

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