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弘前大学は人工知能(AI)を使い、津軽弁を共通語に翻訳するシステムを開発中だ。
主に青森県西部の津軽地方で使う津軽弁は難解な方言で、県外の人との意思疎通は難しいとされる。特に困るのは医療現場。弘前大の医療関係者も県外出身者が多くなっており、現場では苦労する場面もある。早期の実用化を目指し、医療・介護現場をはじめ多様な場面での活用につなげる考えだ。
津軽弁と共通語を配した付箋セットなどの土産物も多い。
開発中の翻訳システムは2017年に東北電力と組み、研究を開始。東北電のコールセンターにかかってきた通話記録を特になまりが強いとされる青森県鰺ケ沢町の出身者に読んでもらい、音声データを取得したり、医療関連の津軽弁会話を集めたりして、AIに学習させて音声を共通語に文字化する作業を続けてきた。
ただ、集めた文例は約3000通りにとどまっている。実用化するには20万通り以上の文例をAIに学習させる必要があるとされているため、19年10月からインターネットで津軽弁の文例の募集を始めた。
ネットの専用ページ「津軽語変換例文登録システム」で、津軽弁の文例とそれに対応する共通語の言い方を入力してもらう。例えば、津軽弁の「へごまな人だ」に対応する共通語は「まめな人だ」といった具合だ。入力者の出身地(津軽地方のどこか)や性別、年齢も入力してもらうことで、地域ごとの方言の違いなどを記録として残す狙いもある。
19年12月末をめどに集まった文例を加え、19年度中に津軽弁AI翻訳システムの原型版を作るとともに、実用化に十分な水準まで文例を引き続き集める。プロジェクトの中心になっている弘前大大学院理工学研究科の今井雅教授は「精度を上げるために多くの文例が欲しい。これまでは年配の方の登録が多かったが、若い人も含めて幅広い年齢層に引き続き登録をしてほしい」と話す。
実用化の段階まで精度が上がれば、スマートフォンで簡単に使えるアプリにする方針。スマホに津軽弁を話すと、画面に共通語が表示される仕組みだ。当初目的の医療・介護の現場をはじめ、観光地での活用など多様な場面で役立つことを期待している。(青森支局長 山田伸哉)
出典:日本経済新聞
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