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【男子新体操】見よ、男子新体操の底力!~AOMORI ONEの圧倒的魅力にひれ伏す
7月12日、宮城で開催され、感動を呼んだ「オンライン演技会ONE vol.0」。
そして、いよいよ。
本格始動の第1回「AOMORI ONE」が、7月26日に行われた。
そのアーカイブをこちら( ↓ )で見ることができる。
まあ、一言でいえば、圧巻。
文字通り、男子新体操と、オンライン演技会のもつおおいなる可能性を、vol.0の宮城に続いて、青森でも立証した、と言っていいハイクオリティーなパフォーマンスだった。
vol.0の宮城は、いわば名取高校団体(それも新作演技)が目玉だった。
ただでさえ、一般的には「男子新体操といえば団体」と思われている。しかも、スタイリッシュな振り付けで人気の名取高校。
それも、今年はまだ一度も披露されていない新作演技、となれば、否応なく盛り上がる。
その盛り上がりを引き継ぐ形での「AOMORI ONE」ではあったが、ひとつ不安があった。
目玉になるはずの青森山田高校の団体が演目に入っていなかったのだ。
例年、インターハイでの初披露となることが多い青森山田だけに、まだ完成していないのか、温存しておきたいのか。
団体演技はなく、その代わり、ジュニアの団体や高校生は個人演技での出演となっていた。
現在の青森は、ジュニアも全国レベル、高校生の個人にもよい選手が多いので、十分、見ごたえはあるはずだが、先日TBSのテレビ番組でも話題になった「青森山田高校の団体」がないのは、ちょっと物足りないのでは? と思われた。
しかし、それは杞憂だった。
オープニングの「ブルーリズム体操」から一貫して、青森の底力が全開!
個人演技前半パートのトリを務めた青森山田高校キャプテン・田中涼介選手の繊細でおしゃれな振り付けながらもダイナミックな躍動が見える新作のクラブ作品のときには、視聴者数が「437」まで伸びた。
さらに、「オンライン演技会ONE」実行委員長・祝陽平さんによる、プロジェクションマッピッングを駆使したパフォーマンスのときには、視聴者数「459」を記録。
7月23日にFIGの公式インスタグラムで行われた内村航平選手のインスタライブでさえ、リアルタイムの視聴者数は1000には届いていなかった。それを思えば、「459」はかなり多いと思う。
その後、青森大学4年生の佐藤三兄弟による、スペシャルパフォーマンスが披露されたときには、「472」まで視聴者が増えた。
現在、最後のインカレ、全日本選手権に向けて研鑽を重ねているだろう佐藤兄弟がこの日見せた演技は競技作品でこそなかったが、それぞれが十分に力をつけてきていることを感じさせるものだった。
さらには、演技後のインタビューで大学卒業後は3人でパフォーマーをやっていくという決意表明まで聞くことができた。
大会が次々となくなり、目標を見失ってしまう選手も少なくないだろう、こんな状況でも、大学卒業後の目標がこうして明確になっているからこそ、たゆまず努力を重ねることができたのだ、と彼らの演技が物語っていた。
できることなら、インカレで、全日本で、「競技選手」としての集大成の演技を観たいと、強く思わせる力をもったパフォーマンスだった。
この佐藤三兄弟のパフォーマンスが最高潮かと思いきや、なんと!
演技会終盤に組み込まれていた「シークレット」の演目が、青森山田高校団体、それも新作披露だということが発表されたのは、いよいよ本番というときだった。
「青森山田が団体やるよ! 見てない人はすぐにONEを観て!」とSNSで呼びかけるのも間に合わないほどギリギリでの発表。
それでも、演技の前に、とてつもなくかっこいい青森山田のPVが流れ、否応なく演技への期待が高まり、PVのラストに「出陣」という文字が表示されたとき、視聴者は「479」を示していた。
入場で「484」、そして演技が始まり、第1タンブリングの後には、「491」まで視聴者が増えた。
あと一歩のところで「500」には届かなかったが、凄い追い上げだった。
もちろん、演技も素晴らしかった。
コロナ禍により、十分に練習できない時間もあった今年の青森山田にとって、この時期に新作を人前で通すということは、かなり負荷があったはずだ。しかし、「vol.0で名取が新作を披露したのを見て、これはうちもやらなければ! と思った。」と荒川栄監督は言った。
実行委員長の祝さんは、宮城県出身で高校は青森山田。
その祝さんが、情熱のままに突っ走り、ここまでこぎつけた「ONE」を、恩師である本多監督(名取高校)、荒川監督(青森山田高校)成功させたい! という思いは、みんなに共通していたのだろう。
そして、なんと言っても、この「ONE」という機会に、自分たちの演技を見せたい、演技を見せることで男子新体操を知ってほしい、見ている人の心を動かしたい! 関わっている人すべてからそんな熱があふれていた。宮城のときもそうだったが、ここ青森でもそれは同じだった。
いつもの年ならば、今ごろは「インターハイで勝つか負けるか」、それだけを考えてる時期だろう。
しかし、今年はなにもかもが違っていた。
だから、いつもならやらないことに、名取も青森山田も挑戦した。
その結果、大きな感動が生まれた。大きな可能性を示した。
2020年7月に行われた宮城と青森での2つの「オンライン演技会」。
そこで、男子新体操は十分に「オンライン」で観客を魅了できることを証明してみせた。
そして、この流れを引き継ぐように、日本体操協会主催の「男子新体操オンライン選手権2020」がいよいよ開催される。
参加締め切りは、7月31日。
ビデオ審査による予選競技は、8月22日。(非公開)
予選を通過したチームによる決勝競技は、9月12日(土)ジュニア上位10チーム、9月13日(日)高校生上位20チームにオンラインで行われる。
春から夏にかけて、ほとんどの大会が中止になったが、それを埋め合わせるように、9月~11月には多くの大会の開催が決定している。
なくなった大会を取り戻すことはできないが、せめてそれらの大会が予定通りに無事、行われれば選手たちはかなり救われるだろう。
しかし、すでに、緊急事態宣言時よりも、多くのコロナ感染者が全国で出てしまっている現在、9月~11月の大会がまたなくなってしまう可能性も残念ながら否定できない状況になってしまっている。
だからこそ。
この「オンライン選手権」という試みは多くの人にとって希望になるに違いない。
まずは、男子新体操が他競技に先駆けて、この大会を行い、成功できれば。
この先、多くの他競技でも、導入が検討されるに違いない。
「MIYAGI ONE」は宮城県のチーム、選手だけの出演だった。
「AOMORI ONE」には青森県のチーム、選手だけが出演していた。
それでも、これだけ盛り上がったのだ。
全国から、ジュニア10チーム、高校20チームが出場するオンライン選手権が盛り上がらないはずはない!
初のオンライン全国大会となる「男子新体操オンライン選手権」に、ぜひ注目してほしい。
<写真提供/青森山田高校・オンライン演技会ONE実行委員会>
出典:Yahooニュース
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