青森・おいしい米「青天の霹靂」:悲願特A!を獲得したど!

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15年10月。青森は「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」という品種米で悲願の特Aを獲得した。やったど!

2016年、東北6県には米戦争(ライスター・ウォーズ)が渦巻いていた。

ひとめぼれ、あきたこまち、はえぬき、つや姫…。どれもが「特A米」と呼ばれた。唯一、青森県だけはその評価を得られていなかった。

しかし、15年10月。ついに青森は「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」という品種で悲願の特Aを得た。県庁内部に架空の「ごはん部」を作るなど大々的なPR展開を行い、反撃に向け動きだした。

過熱するブランド米競争で、覇権を握るための戦いが始まる。

晴天の霹靂

ライトセーバーを持つごはん部當麻PR隊長(左)と青天の霹靂を持つ石塚ごはん部部長は気勢を上げる


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おもり米の新品種「青天の霹靂」が最高評価「特A」を受賞

15年2月。青森県庁の通路に歓喜の絶叫が響いた。日本穀物検定協会による食味ランキングにおいて、あおもり米の新品種「青天の霹靂」が最高評価「特A」を受賞したのだ。米の白さ、粘り、甘み、全てで評価された。県農林水産部の総合販売戦略課西村達弘課長(55)は「知事も話していたが、ブランド米としては周回遅れだった。米として勝負ができる。感慨深かった」と振り返る。これで東北米界の雄「ライス・ベーダー」こと、あきたこまちに立ち向かうことができる。武器「ライスセーバー」を手に入れた瞬間だった。

劣勢に立たされていた青森

劣勢に立たされていた。青森は東北の中では最北に位置し、冷害に苦しめられていた。しかし10年、北海道がゆめぴりかで特Aを獲得。寒さはもう、言い訳にならなかった。

青森の力を結集させ、ついに新米が誕生した。

13年、指令が下った。「特A米を作れ」。1967年から続く県産米改善で、結果を出さなくてはならない。品種改良を繰り返し、厳格な生育基準も作った。主力米である「つがるロマン」と比較すると密集させて作付けできず、収量は約2割落ちる。渋る農家を「うまい米を作って欲しい」と説得し、ブランド米開発に励んだ。県農林水産部の農産園芸課成田智昭課長代理(56)は「おいしいお米を作っているのに、評価されないとじくじたる思いがあった。あきたこまちやコシヒカリと戦える米ができた」と青森の力を結集させ、ついに新米が誕生した。

強力な武器を手に入れ、一気呵成(かせい)に攻勢に転じた。テーマは「トガる」

一般的に食欲減退をさせると敬遠される青色をパッケージに使い、「青天の霹靂」と難解な漢字でネーミング。絶対に売れないと賛否両論が巻き起こった。しかし、消費者へ印象を残すための選択だった。県庁内のベンチャー事業で有志を募り、架空の部署「ごはん部」も結成。石塚清則ごはん部部長(43)は「お米と言えば女性的なイメージがあるが、男性的なイメージで売ろうというコンセプトで」と従来の概念をぶちこわす、大々的なPR活動を展開し始めた。

米のPRイベントはツイッターやインスタグラムといったネット上で拡散

手始めに東京へアタックをかけた。銀座三越など名だたる場所で出張販売を行うと、流行の発信地東京・青山でまさかのイベントを打った。その名も「人動販売機」。“自動販売機”の中にごはん部の面々が入ったのだ。コインを入れると目の前のカーテンがガバっと開く。そのままごはん部の名刺と「青天の霹靂」のおにぎりを渡す。ドッキリのような仕掛けが受け、2日間で約5000人を動員。当麻宜昭ごはん部PR隊長(35)は「思いっきりウケましたね。青山でおしゃれな人たちがびっくりされて、SNSで広めてくれた」。見たことのない米のPRイベントはツイッターやインスタグラムといったネット上で拡散していった。

日経MJのヒット商品番付では「下町ロケット」を抑え前頭2枚目を獲得するブレークぶりだった。

前例のない戦い方で、ブランディングの1歩目は成功した。デビューした1年目、出荷基準を満たした2670トンは15年内にほぼ完売となった。16年は収量・出荷量の大幅増加を目指して、消費者の手元に多く届くように取り組む。当麻隊長は言う。「青天の霹靂をきっかけに、県産の物に興味を持って欲しい。オンリーワンになってほしい」と。覇権を握る戦いは始まったばかり。秋の新米の季節に向け、米とともにライスセーバーを研ぐ。

山形 秋田 宮城 岩手 福島 各ブランド米の戦略とは

山形・つや姫 うまい米を作るトップだ。特A評価を受けるのは最多の4銘柄(つや姫、はえぬき、ひとめぼれ、コシヒカリ)。主力品種ははえぬきだが、業務用中心で全国的知名度が低い。そのため家庭用への広がりを目指しつや姫を10年から投入した。デビューから6年経過し、「県産のブランド米として引っ張って欲しい。PRはTVCMが核」(JA関係者)とさらなる躍進を目指す。

秋田・あきたこまち 東北の雄はどっしりと構える。14年度の収穫量と作付けは新潟、北海道に次ぎ、全国3位。味、収量ともに米戦争での盟主。パッケージも秋田美人をモチーフにしたもので、家庭に浸透している。今後のPR展開は「空港などに看板を設置しているくらい。あとはミスあきたこまちがキャンペーンを行っている。地道に行きます」(JA関係者)と王者の風格を漂わせる。

宮城・ひとめぼれ 国民的スターの後押しを得た。品種誕生25周年を迎え、JA宮城はSMAPの香取慎吾(38)を「GM(ごはんマネジャー)」として起用。魅力を全国へと発信していく。白米をおいしそうに食べるイメージが強く、若年層から年配まで好感度が高い。「SMAPが復興支援をしており、引き受けてくれた。宣伝強化をしていきたい」(JA関係者)と一気に覇権を握る。

岩手・銀河のしずく 16年秋に新品種販売に乗り出す。1989年から「いわて純情米」として県産米のブランド力向上を掲げてきた。今回の新品種では、県が専門部署を立ち上げて、2月ごろに販売戦略を策定。3月にロゴやデザインを制定する。これまで特A評価を受けていたのは県南産のひとめぼれだが、開発中の「岩手118号」も17年からの供給を予定。新品種ラッシュで攻勢をかける。

福島・会津産コシヒカリ、ひとめぼれ 安全性をアピールする。県産の特A評価は2品種。しかし震災による原発事故で風評被害が続く。放射性物質が存在しないか全量全袋検査を実施しており、食品衛生法に定められる一般食品の基準値以下であることを確認し出荷。「おいしさと安全さを伝えるための取り組みを行っている。県もCMを流している」(JA関係者)と安心とおいしさを届ける。

やはりコメは日本民族にとって最強の食文化である!!

出典:日刊スポーツ

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