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北海道新幹線・周遊の魅力度アップが鍵!【検証 青函2年目】
津軽海峡を渡る北海道新幹線新青森-新函館北斗間が開業して26日で1年。
開業効果の獲得に向けて重ねてきた青函圏の連携は、新たな段階を迎えた。
北海道新幹線がビジネスと観光に与えた変化を捉え、青函2年目の課題を探る。
北海道新幹線はアジアからの観光客の乗降も多い。インバウンド効果。
新青森駅はバックパックやスーツケースを持った訪日外国人の姿が目立つ
北海道新幹線内
北海道新幹線開業1年、国内外観光客誘致作戦
■外国人客が急増、インバウンド効果をPR UP
アジアや欧米などからの観光客が、スーツケースやスノーボードバッグを携え、新青森駅を行き交う。北京市から訪れた男性客は「世界一長い海底トンネルを新幹線で通るのはすごくドラマチックだ」と笑顔を見せた。
北海道新幹線開業の追い風を受け、青森県は中国、台湾を中心に訪日外国人旅行者(インバウンド)が急増。国土交通省の宿泊者数統計調査では、青森県の2016年外国人延べ宿泊者数は前年比32%増の約14万5370人。新幹線やフェリーで北海道へ渡って周遊するツアーが大人気だ。
「会員が集まるとインバウンドをどう取り込むかという話題で持ち切り」。青森県内の宿泊施設約240軒が加盟する県旅館ホテル生活衛生同業組合の岩谷達造事務局長は語る。特に冬季の八甲田地域はオーストラリアやニュージーランドからのスキー客が目立つという。
■県内客足に偏りがみられた。改善対策案が必要
国内客の動きにも変化が表れた。JTBによると、首都圏発着の主力商品の16年度宿泊予約人数(2月26日現在)は、北海道南地域が前年同期比1.7倍、北東北も同1.1倍と微増した。担当者は「元々人気の北海道にさらに注目が集まった。連動して北東北に立ち寄る傾向が強まりつつある」と分析する。
しかし、客足には偏りも見える。青森県の16年観光統計調査では、主要施設34カ所の入り込み客数は前年比0.9%減の計約998万7300人。青森空港や新青森駅がある青森市内の施設は客が増加したものの、新幹線駅から離れた弘前市、むつ市などの観光施設は伸び悩んだ。
■ローカル線の名物列車は苦戦した。
津軽鉄道(五所川原市)の冬季観光の目玉「ストーブ列車」の乗車券販売(16年12月~17年2月)は、前年同期比11.3%減(約1万5990枚)の大幅減。北海道新幹線「奥津軽いまべつ駅」(今別町)と津軽中里駅(中泊町)を結ぶ2次交通バスが運行されるが、周知不足もあって利用は低調だ。津軽鉄道の白鳥泰課長は「リピーターを呼べるよう、新たな周遊コースを提案したい」と話す。
■一方、函館は、好調が続いている。
日没後の「函館山ロープウェイ」は大混雑し、下山改札には長蛇の列。待ち時間が約40分を超すのは日常的だ。
青森県誘客交流課の堀義明課長は「海外で東北の知名度は低いが、北海道は群を抜いている。北海道と東北を面で捉えた商品は顧客の期待値も高い。まずはそこから青森のリピーターを増やす」と意気込む。
鉄道、空路、フェリーなどの玄関口が集積する青函圏。新幹線開業効果の波及、継続には内外の観光客の志向や動態を踏まえた臨機応変な周遊提案が鍵を握る。
北海道新幹線開業1年 工藤寿樹函館市長に聞く
青森県と北海道南地域連携の要を担ってきた函館市。北海道新幹線の開業は人気の観光都市に何をもたらしたか。2年目以降を「ポスト新幹線元年」と表現し策を練る工藤寿樹市長に、26日で1年を迎える開業の成果と、東北との広域連携を含めた誘客戦略を聞いた。
■開業1年目の効果は。
「青函トンネルを行き来するJRの利用客が在来線時代の約1.7倍と、大幅に増えた。とりわけ東北、北関東からたくさん来てもらえるようになった。人の流れが活発化し、大きな効果があったと受け止めている」
「北陸新幹線の開業時は小松空港の利用客数が大幅に減少したが、函館空港は前年並みを保っていることも特徴だ。フェリーの利用客数も伸び、相乗効果で全て順調だった」
■函館市への観光客も大幅に増えている。
「五稜郭タワーや函館山ロープウェイといった市内の主要観光施設は、いずれも開業前と比べて入り込み客数が10~30%以上増加した。市全体の入り込み客も通年で550万人台に上る見込み。新駅(木古内駅)がある木古内町などもにぎわい、道南一帯で効果があった。首都圏で函館と東北を組み合わせた旅行商品が多く売られ、われわれにとって良い1年だった」
「インバウンド(訪日外国人旅行者)も好調。開業後は欧米客が増えてきた。大型連休や夏場は宿が全く取れず、苦情が出るほど。取りこぼしがあると言われることも。ホテルも飲食店も稼働率は上がったが、人手が足りず十分に回せないのが課題だ。青森と同じで函館も冬場は国内客が遠ざかるが、インバウンドは来てくれる。ようやく通年観光に近い形ができてきた」
■2年目以降、どう誘客を図るか、リピーター戦略
「今後は観光客争奪合戦がさらに激しくなる。函館単体では人集めの仕掛けを重ね、見るたびに進化していると思わせ続けなければいけないし、来てもらえる街にすることが一番。これからは『ポスト新幹線元年』。もう過ぎてしまった新幹線開業を喜んでいる時期ではない。滞在型観光を提供して交流人口を拡大し、深刻な人口減にも対応する」
「地域の垣根を越えて連携していく。函館は道内以外に埼玉、宇都宮など関東地方との連携も始めている。東北なら仙台空港、花巻空港などと手を組み、出入りのパターンを増やしたい。東北に目を向けさせ、観光にとどまらない流れをつくりたい。函館、青森、盛岡、仙台、東京など東日本を巡る広域観光のルートづくりも、各地のリピーター定着につながる」
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