青森県八戸市の河原木重雄さん(67)さえ子さん(64)夫妻が9月上旬、作家・深田久弥が選定した「日本百名山」の全山登頂を達成した。2人で登り始めてから15年で念願をかなえ、「苦労して登り切ったときの達成感がうれしくて続けてこられた。ようやく一つの区切りがついた」と充実した様子で長い道のりを振り返った。

「白馬岳」の画像検索結果

2人は9月7日、長野、富山県にまたがる白馬岳(標高2932メートル)に登り、全ての山を制覇した。同岳を最後に選んだのは、「有名な山だから、山頂にいる人と一緒に喜び合って、にぎやかに祝いたかったから」。しかし、台風が接近していたことなどで天候が悪く、山頂に人影はなかった。濃霧で見晴らしも悪かったが、持参した三脚を使い写真を撮った。重雄さんは「最後に限って誰もいなかったけど、これもいい思い出」と笑う。

「岩手山」の画像検索結果

重雄さんは高校卒業後に就職した会社で山岳部に誘われたことをきっかけにのめり込み、登山歴45年以上のベテラン。結婚後は、さえ子さんと一緒に登るようになった。2001年9月の岩手山(岩手県・標高2038メートル)を皮切りに、10年までは年に1、2カ所のペースで登頂。重雄さんが11年3月で定年退職したのを機に、百名山登頂を意識するようになった。

「鷲羽岳」の画像検索結果

どの山にも思い出はあるが、重雄さんが記憶に残るのは、北アルプスの中でも特に奥深い土地にあるという鷲羽岳(標高2924メートル)や水晶岳(同2986メートル)。周辺の山にも登るため、テントや水、食料など4泊分の荷物20キロほどを背負って歩き、「とても苦労した。一番大変だった」と振り返る。

目標の百名山制覇は達成したが、山への思いは尽きない。今までは急いで頂上を目指すあまり、周りの景色や植物などを見ている余裕はなかったという。2人は「これからは花、紅葉、風景をゆっくりと見ながら登山を楽しみたいね」と顔を見合わせ笑った。